安全保証上のボトルネック解消にも繋がる スマートアグリとTPP | ライターお仕事「ライティングマーケット」
安全保証上のボトルネック解消にも繋がる スマートアグリとTPP

安全保証上のボトルネック解消にも繋がる スマートアグリとTPP


日本では戦後、民主主義の名の下に、GHQによって大規模農業が解体されました。いわゆる農地改革です。ただでさえ国土が狭い日本にとってこれは非常に大きな問題で、それ以降、アメリカやオーストラリアが行っている、広い農地を有効利用した大量生産方式を適用するのが困難な状態が未だに続いています。

現在の日本の農業は、就農人口の減少と就農者の高齢化や、依然として高い生産コストが招く農産物の競争力低下など大きな問題を抱えています。特に深刻なのが後者の問題で、TPPが発効される折にこの低い競争力が遠因となって、離農者を増や事態を招きかねません。

食糧自給率の低下は国力の低下に直結します。安全保障上のボトルネックになるので、農業分野にも鉱工業や物流業界同等の自動化、情報化を導入するべく進められているのがスマートアグリ、またはスマート農業と呼ばれる官民一体となった活動です。農業の世界に浸透させようとしているIoTと表現することもできるでしょう。

GPSとリモートセンシング技術、車の自動運転技術を融合させた自走式トラクター、重い農機具や収穫物を運ぶのをサポートする筋力補助ロボット、継続的に測定して得られた土壌の化学的変化や温度推移をもとに、次に起こすべきアクションとタイミングを決めるソフトなどが既に存在します。ビニールハウス内で深夜、早朝の出荷に合わせて果実を収穫する無人ロボットは電子機器の自動生産ラインに近いイメージで、スマートアグリの目指すものが目で分かる良い例です。

これらの例は言わば単一工程の自動化ですが、その年の気象条件や市場のニーズに合わせて、種や苗の植え付け段階から出荷、デリバリーに至るまで統合的に管理するというのがスマートアグリの全体構想です。

肉体的に過酷な労働が改善されれば、高齢者でも農業が続けやすくなりますし、勘や経験をセンサーとソフトが補ってくれれば未経験者の参入障壁が小さくなります。生産効率が向上すれば収益が増えるので、優秀な人材が農業を離れる理由が減るでしょう。このように、理論的には良いことずくめのスマートアグリですが、法や手続きの問題が分かっており、まだあるであろうそれらの課題を洗い出す作業が続けられています。

日本でもいちごや桃などの果物を中心に国際的なブランド化に成功した農産物はあります。これらが評価されているのは食品としての安全性、トレーサビリティーと、日本以外の国では常識はずれの美しい外観です。いずれも生産から物流まできちんと管理された商品であり、その意味でスマートアグリの下地は既にあると言えるので、是非とも成功につなげたいプロジェクトです。